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シナリオ作成の仕方

 ここでは、簡単かつ基本的なシナリオ作成の方法を紹介する。

 勿論、シナリオは自由な構造で作成して構わないが、方針が定まらない場合、ここで紹介する方法で作成するとよい。

1.敵対キャラクターを考える

 シナリオを考案するにあたって最も分かりやすいのは、PCが戦うことになる相手を一人から三人程度考案し、それを軸にシナリオ作成を進める方法だろう。

 敵キャラクターの種別としては、以下のようなものから選ぶとよい。

  1. 特異能力者

  2. 魔術師

  3. 特異存在(分かりやすい例では亜人・異世界人・吸血鬼など。或いは《対象》などの知性なき化物)

 敵キャラクターは、「明確に他者に危害を加える」目標を抱いているとよい。

 例としては「ヒロインに恨みを持っているので(或いはヒロインを殺すことによって利益を得られるので)殺害したい」という局所的なものから、「市民を生贄にして大規模な儀式を成功させ、願いを叶えたい」といった大規模なものもあるが、ともかく「その敵を放置すれば確実に犠牲が出る」ようなものであればよい。

 敵キャラクターは基本的には、「強力な異能者であるPCが対応せねばならない」くらいに強力な存在である。その強さを演出する為に、キャラクター性を象徴するようなオリジナルのスキルを持たせるのもよいだろう。

 敵キャラクターを一人しか登場させない場合、それに協力する(或いは協力させられている)モブの魔術師や武装集団などを用意するのもよい。

2.非敵対キャラクターを考える

 PCが関わることになる、敵対しないキャラクターを考える。

 シナリオを進行させるのに最も便利なのは「ヒロイン」、そして「依頼者」或いは「上司」である。

 組織と関わりを持たないPCを想定するならば、その者には助ける対象であるヒロインや親友などを関わらせる。

 組織に所属していたり、協力しているPCを想定するならば、依頼者や上司を関わらせる。(この場合は「世界観」に掲載されているNPCを用いるのがよいだろう。)

 依頼者/協力者として登場させる組織としてお勧めなのは、以下のもの。

  1. 魔術学会……一般社会に影響を及ぼすような魔術の使い方をしている魔術師(※その正体が魔術師でなくともよい)を咎める活動をしている。

  2. 惟神/斑鳩機関……秩序の敵になるような存在を排除している。

  3. 環境局……一般市民の危険になるような事象を解き明かし、解消する役割を持っている。

  4. ​東岸家……東岸定理が、危険な特異能力者や特異存在の排除活動を行っている。

 

3.敵対キャラクターの動向を考える

 敵対キャラクターのシナリオ開始までの行動及び、その後の行動方針を考える。これがそのままシナリオのプロットとなるだろう。

例えば、「ヒロインを殺害する」ことを目指す敵対キャラクターを出す場合、

・オープニング終了後などのタイミング:一度目の襲撃(PCに撃退され、警戒した敵対キャラクターは一旦撤退)

・ミドル・フェーズ:PCが敵対キャラクターの正体や目的を追っている傍らで、敵対キャラクターは協力者を集めたり、一般人に犠牲を出してPCをおびき寄せるような動きを取る

・クライマックス・フェーズ:自身を打倒して安全を確保する為に向かってきたPC達を敵対キャラクターが待ち受ける

 といったような構成を骨格に出来る。

 ここにNPCとの会話・交流シーンや、敵対キャラクターの配下との小競り合いを加えることで肉付けが出来る。

4.舞台を決定する

 シナリオの舞台は、最もオーソドックスな形として、現代日本の一都市とするのがよい。

 もう少し閉鎖された空間で物語を展開するのであれば、比較的広大な駅や商業施設などもよいだろう。

 何にせよ、「3.敵対キャラクターの動向を考える」までで決定したプロット上不自然にならないようなロケーションにする。

5.具体的なパート構成を考える

 プロットに従ってパートのリストを作っていく。

 オープニング・フェーズでは、NPCとの交流や依頼の受諾を描くとよい。

 或いは敵対キャラクターとの接触を描いても良い。(この時点では敵対していなかったりだとか、逃げられてしまった・相手を倒す方法が判明しておらずこちらが逃げざるを得なかった……等)

 ミドル・フェーズでは、事件の中で追い詰められていくNPCと交流したり、敵の追跡を行ったりする。

 敵の追跡を行う方法としては、「セッションの進行」の「ミドル・フェーズ」の項目にある、情報収集のルールを用いるとよい。

 情報収集で提示する調査項目は、調査の成功に従って段階的に追加していき、より事件の核心に迫るような内容にしていく。

 また、ミドル・フェーズのどこかのタイミングで一度、戦闘パートを挟むとよい。交戦対象は敵対キャラクターの黒幕でもよいが(その場合は戦闘終了後に一旦撤退することになる)、その配下や協力者でもよい。

6.シナリオハンドアウトを作成する

 シナリオの流れが完成すると、PCにとっての導入となるシナリオハンドアウトが作成出来る。

 ここでは、調査項目の中でも一番最初に公開されるものに繋がるような導入であるとよい。

 たとえば最初に「民間人を攻撃した魔術師の正体」という項目が公開されているのならば、PCに導入として渡すシナリオハンドアウトのうちの一つに「失踪した魔術師の行方を追う」といったようなものがあると、その魔術師の正体を確かめるような理由付けが確保出来る。

7.敵データを作成する

 戦闘は基本的には、ミドル・フェーズで1回と、クライマックス・フェーズで1回行う。1回の戦闘で登場させる敵対キャラクターは3体程度に抑えておくのがよい。

 敵データは、サンプルシナリオやサンプルエネミーを参考にして作成するとよい。

 PCに合計で2、3回《死殺》を使わせ、崩壊表の適用によってNPCやPCに影響が及ぶ可能性が出てくる程度の難易度であれば程良い緊張感が確保出来るだろうが、(少なくとも本ゲームでは)基本的に「敵は勝たない」ものなので、PCを死なせることは意識し過ぎないほうがよい。

 また、敵データはPCデータに準拠して作成する必要は「全くない」。

 戦闘時の制御を簡単にするため、スキルは全てオリジナルスキルにしてもよいし、能力値や技能レベルも自由に決定してよい。

 初期作成のPCを相手取った場合における、ざっくりとした方針としては、

・PCが5人であれば、(防御・ガード値がない場合)全ての敵対キャラクターで合計して300程度のHPを持つ。PCが一人減るに従って50程度減らすとよい。(PCが発揮出来る攻撃力を見て、多少増減するのもよい。)

​・全ての敵対キャラクターを合計して、6個前後の《流出》を持つ。(演出で《流出》を使う場合を除く)

・主な攻撃の命中判定で最大40程度の達成値を出す。勿論、当たりにくいが即死級の威力を出す技などを持っていてもよい。

・防御やガードを行わない相手のHPを40~60程度削れる威力を出す。範囲攻撃の場合は少しだけ控えめになる。

・最大達成値30程度で回避を行う。あまり回避は出来すぎないほうがよい。

8.シナリオトレーラーを作成する

 最後に、シナリオのトレーラーを考える。

 トレーラーは個々人のセンスで好きに作るべきだが、「何となくシナリオの内容を仄めかすような文」だとよいだろう。

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