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世界観概要

■世界の構造について

 舞台となる世界は、現実の現代によく似た世界である。

(《アズ・リアル》という名が付いているが、世界の住人にとって基本的に"世界は今居る場所一つしか存在しない"ため、この呼称は普及していない。)

 また、この世界で発生し得る現象を全て記述した”設計図”、或いは”データベース”である《確率の空》というものが存在する。

​ これはイデア論におけるイデア界のようなものである。もしくは、より直感的な譬えをするのであれば「神」であり、実際のところ、《確率の空》は一人の女神のような姿を有している。

 《確率の空》――「神」は《アズ・リアル》に限らず、世界の数だけ存在しており、それぞれ個性(即ち、世界の方向性)を持っている。

 その中でも《アズ・リアル》の「神」――《唯一なる真理(アレーティア)》は、非常に自由主義的な性質を持っており、「人が強い意志で以て世界法則の超越を求めているのならば、それを咎めるべきではない」という考えを抱いている。

 しかし、悪く言えばこの”放任主義”こそが「世界法則の防御の甘さ」へと繋がっており、結果として、世界にとってリスクとなる「世界外の法則」――《特異》の流入を招いてしまっている。

 なお、《特異》以外の、常識外の特性(魔術や《始原識》、斑鳩の術など)は、もともと《アズ・リアル》に存在していたものということになる。

 こういった事情は普通、世界の中に住む人間は知る由も無いが、《特異》、中でも《特異能力》使いを自分の制御下に置いておきたい東岸定理という少女が、能力覚醒者に話すことがある。

​ また、世界の外側からやってきた《特異存在》は、(東岸定理がそうであるように)高位の存在であれば自ら世界の構造を認識出来る場合もある。《特異能力》の力が高まり過ぎて存在レベルで世界を超越し、半ば《特異存在》と化した人間なども同様である。

 

■舞台

 主に現代の日本だが、地球のそれ以外の場所を舞台にすることも出来る。

 地球の各地で、様々な常識外の特性――"特別性"を有した人間や、それらを集めた組織機関が暗躍している。だが中でも日本は、各組織が苛烈にしのぎを削り合っており、個人で活動する強力な異能者も多数存在している激戦区となっている。

 

■特別性

 異能としての特別性には主に、以下のようなものがある。総じて、集合的無意識の作用により記憶修正がなされるため、一般人では、これらの存在を観測することが出来ない。(正確には、見た瞬間に記憶から失われるので”何も見ていない”と錯覚する。)

《特異能力》:本来は存在しない法則《特異》を操る。常識を打ち破り、あらゆる事実をも無視して何かを求めようとする強い希望や絶望に反応して覚醒する。逆に、どれだけ強い願い事や失意があっても、(意識的に常識に従う振る舞いをしているのではなく)常識に縛られている場合には覚醒できない。

 特別性の中でも希少であり、存在すらあまり知られていないが、世界法則の縛りを受けないその力は非常に強力で、《特異》を扱うものは、同じく《特異》でないと対抗不可能なほどに強い。

《魔術》:特別性としては最もメジャー(とはいえ、全人口と比べたら圧倒的に使用者は少ない)。《確率の空》に直接アクセスし、そこに記述されている限りで任意の現象を引き出す技術。《特異》が「世界法則の超越と破壊」であるならば、《魔術》は「世界法則の乱用」。

 究極的な領域にまで達すれば、「起こり得る事」ならばなんでも出来る。例えば、「死ね」と念じるだけで(魔術に無抵抗な)相手を殺害出来る。一方、初級者や才能に恵まれない者は単に火を出したり風を起こしたりするのが限界であり、強弱の差が激しい。

●《秘術》と《斑鳩法》:《秘術》は、今や日本全土に広く拡散している、「神領」という家系の血から引き出す異能である。いわゆる"気"とか"霊力"とかの言葉で表現される、在る種の「オカルト」。

 《斑鳩法》は、体内の気の流れを上手く制御して効率的にぶつける格闘戦闘技術である。本来は、神領本家の組織する戦闘機関《斑鳩機関》の技だが、機関最高戦力たる少女、神領烈花が、常識外の事件の被害者になったり、巻き込まれたりした者のために、講座を開いたりしているので、現在は機関外にも広まっている。

●《途心》:同じ事を繰り返し続けることで、《確率の空》に「自らはこういった存在である」と誤認させる、後天的異能。具体的な例をあげるならば、「見たものの全てを斬ってきた男」は、「彼が見たものは全て切断される」と世界が理解する。その為、彼は目視しただけで物体を切断するという特性を持つ等。

 基本的に、"或ることに特化した結果"としての利点と欠点双方を併せ持つ。

《始原識》:生まれた時から、《確率の空》に「その人間はこういった存在である」と、特殊な性質を持つことを定められた人間。先天的な《途心》とも言える。生まれた時から真っ当な人生が送れないことが確定しているので、非常に生き辛い事が多い。

●《神性顕現》:魔術と途心の原理を組み合わせた、惟神(後述。日本国政府特務機関)独自の技術。集合的無意識、或いは多数の「信仰心」や「イメージ」によって形成された「伝説」を、現実上に呼び出す。神や伝承上の武器などを召喚できる。ただ、共通のイメージを抱く人数が少ない代わりに(最小で一人)、一人ひとりが平均的な人間を凌駕する強いイメージを抱くことでも実現出来る。

●《心理操作》:《精神ネットワーク》と呼ばれる集合的無意識に対して、意識的に働きかけを行う技術。主に《ホスピタル》(後述)で研究が進められており、彼らの所有する大学では、その一部を習得できる。

 

■PCの特性

 PCは、基本的に《特異能力》を持つ。そして、PC達は、数多の特異能力の中でも、かなり強力な部類のものを用いることが出来る。

 具体的には、以下の行動が行える。(特異能力とは、あくまで"世界の法則を無視、もしくは自分の想う通りに上書きする"という定義に過ぎないので、無限と言えるほどに種類が多いが、その中でも、これらの事象を実現できる場合は多くないため、特異能力者だからといって、誰しもこれらの行動が出来る訳ではない。)

●《死殺(オーバーライド)》:死を殺す。死んでも元に戻るが、「死」とは本来、最も原理的で根本的な概念であるため、それを無視するとなれば、相当に甚大な世界崩壊をもたらすことになる。

●《内世界流出(カルネージ)》:自身が持つ「世界観」を外界に適用し、その空間の法則を破壊して任意に書き換える。

●《視点分離》:《特異》によって、世界を第三者的目線で、上位の次元から俯瞰する。意識的に使用する場合もあるが、無意識に使用し、ふと必要な映像が記憶に飛び込んでくる(つまり、"何故かその様子をどこかから見ていた記憶がある")という場合もある。

 これらに加え、各々のPCが、クラスやキャラクター設定にあわせて、魔術や秘術などを併用するか、もしくは完全に《特異能力》のみで戦うことになる。(たとえばクラス「理装使い」は、《特異能力》を直接的に攻撃に用いる。)

 

■主要な組織・機関・グループ

《魔術学会》:魔術師の統括機構であり、最も大規模で権威の強い魔術結社。魔術師達が表側の社会へ影響を及ぼすことを咎める、保守的な組織。「学会中枢十八席」と呼ばれる18人の高位魔術師が意思決定している。

とはいえ魔術師は個人主義的な者が多く、彼らはその極みである分「我儘さ加減」も相応であるため、18人が揃ってまともに会議をすることは少ない。

十八席の中で最も「表側と魔術界隈の境界の維持」という理念の実現に向き合っているのは、メリア・フランシールという女性。

なお、魔術師には自身の信念を一言で表現する「魔術名」を名乗る習慣がある。

《神殿》:《魔術学会》とは真逆で、表側の社会に干渉することを躊躇しない、急進的な魔術結社。

《斑鳩機関》:日本に古来より存在する戦闘集団。基本理念は「日本を護る」ということなので、かつては異能者どころか真人間の暗殺にも携わったことがあったが、最近は専ら、社会に害をなす異能者を暗殺している。女性は巫女装束のような衣装を着てることが多い。神領烈花という女性は組織最高戦力であり、彼女が任務を下すことが多い。

《惟神》:日本国政府の特務機関。理念は《斑鳩機関》と同様のようだが、こちらは積極的に自国の利権を確保することが大本の理念であったため、現在でもやや攻撃的。とはいえ設立当初よりはかなり穏健になっており、秩序の為に《魔術学会》や《斑鳩機関》と協力することも多い。福羽聖司という青年が、霞が関のビルの最上階にある本部で、自身の使役している狐耳の少女と共に指示を出している。

●《ホスピタル》:精神に関する研究を行う、秘密研究機関。生きた人間を被験者にして、精神コントロールの実験を行ったりしてる。所長の金枝真名は、一応は真人間なものの、社会の様々な界隈に顔が利き、自身の精神を操って記憶修正を解除することによって、魔術や斑鳩機関、果ては特異のことまで認識している。

《東岸家》:遺伝子ではなく、"東岸"という名そのものが力を持つ、特別な家系。常識外の現象や存在を把握・管理することを狙っているが、神領家に比べると歴史が圧倒的に浅い。東岸家の娘の東岸定理は、特異のことを最も知る人物であり、彼女は世界を崩壊から救うために、特異能力に目覚めたものを導いたり、その者が危険人物ならば自身の協力者に倒させたりしている。

しかし、東岸定理は、本来は管理すべき存在である《特異能力》使いの覚醒を見過ごす(覚醒しそうな状況下に追い詰められた者を、あえて助けずにおくことがある)ことがあり、「何らかの目的で特異能力者を集めて一大勢力を築こうとしているのではないか」と他組織から危険視されている。

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